死海の五つの小国は、遠いエラムの国、現在のイラクである、その国の王に、服従していた。そのしるしとして、12年間、貢物を納めていた。しかし、13年目に、それを止めた。途端に、エラムの王は、バビロニアの王センナアルと、エラサル王、ゴイム王と、同盟を結び、ヨルダン川流域の討伐を開始した。
それは、破竹の勢いで、諸都市を占領し、シナイ半島へ南下して、エル・パラン、現在のアカバ湾に達した。
それから、北上して、カデスを占領し、アマレク族、アモル族を降伏させ、いよいよ、死海の南方に攻めてきた。
小国の五つの王たちは、連盟を結び、それを迎え撃つが、敗北する。
同盟軍は、ソドム、ゴモラの町に出て、略奪をする。物だけではなく、人々も連れ去った。
アブラハムの甥のロトの財産も略奪された。
これを知ったアブラハムは、一族300人の兵士と、マンブレの軍を加えて、同盟軍を追撃した。
カナアンの北方ダンに至り、攻撃を始めた。
不意を撃たれた同盟軍は、逃げるしかない。
アブラハムは、逃げる敵をダマスコの北方ホバまで行き、致命的な追撃を加えた。
こうして、アブラハムは、ロトの一族や、人々を救い出した。
略奪された物も、取り返して、意気揚々と凱旋したのである。
それを迎えたのは、ソドムの新王と、サレム、現在のエルザレム、のメルキセデク王だった。この、メルキセデクは、王であり、最高の司祭でもあった。
パンとぶどう酒を携えて、神に捧げ、アブラハムを祝福して言う。
「天地を創造された最高の神によって、アブラムは祝福されますように。敵をあなたの手に渡された最高の神も賛美されますように」
ソドムの王はアブラムに「人はわたしにお返しください。しかし、財産はお取りください。」と言ったが、アブラムはソドムの王に言った。
「わたしは、天地の造り主、いと高き神、主に手を上げて誓います。あなたの物は、たとえ糸一筋、靴ひも一本でも、決していただきません。「アブラムを祝福したのは、このわたしだ」と、あなたに言われたくありません。わたしは何もいりません。ただ、若い者たちが食べたものと、わたとと共に戦った人々、すなわち、アネルとエシュコルとマレルの分は別です。彼らに分け前を取らせてください。」
上記は、聖書より。
これらのことがあってから、神が幻の中で現れて、アブラハムに言う。
「恐れるな。アブラム、私はおまえのたてである。おまえの報いは大きいであろう」と。
しかし、アブラハムは、一人の子宝にも恵まれずにあった。
妻のサライは老いぼれていた。
「主ヤーヴェよ、私に何をくださるのですか。私は子供なしで過ごしています。私の家の跡継ぎは、ダマスコのエリアザルです。私に子孫をお与えくださらなかったので、私のしもべが私の跡を継ぐでしょう」
ヤーヴェが言う。
「相続人は、おまえの実子だ」と。
そして、アブラハムを外に連れ出して、夜空を見せて言う。
「天を仰いでみよ。できるなら、あの星を数えてみよ。おまえの子孫もあのようになる」
アブラハムは、それを信じた。
しかし、10年を経ても、子供が出来ないので、妻のサライが、当時の風習に従い、女中のアガルをアブラハムにあてがった。
アブラハムは、妻の進めるままに、エジプト人のアガルに子を身ごもらせた。
すると、身ごもったアガルは、それにより、慢心し、妻のサライを見下すようになる。そこで、サライがアガルを奴隷のように、虐待した。
アガルは、いたたまれず、エジプトに逃れる。
そこで、天使が現れて言う。
「おまえの女主人のもとにくだれ。私は、あなたの子孫を数えきれないほど多く増やす」
主の御使いは、また言った、と聖書にある。
ここでは、主ヤーヴェではない。天使である。
主は仰せられたと言うのではない。
天使が、あなたの子孫を数えきれないほど増やすと、言うのである。
そして、
「その子をイシュマエルと名づけよ。主があなたの悩みをお聞きになったから。
彼は野生のろばのような人になる。
彼があらゆる人にこぶしを振りかざすので
人々は皆、彼にこぶしを振るう。
彼は兄弟すべてに敵対して暮らす」
ここが、最重要ポイントである。
イシュマエルの子孫は、アラビア人である。
荒くれた野生のろばのように自由奔放にて、荒野をさ迷い、土着民、つまり、サライの子孫を言うが、その付近にテントを張って、絶えず略奪をするようになるのである。
アガルが子を産んだ時、アブラハムは、86歳になっていた。
エジプト人の女に生ませた子の子孫が、アラビア人であるということだ。
彼らは、略奪をして生活を立てるといわれる通りになった。
それが、後のアラブ人である。
ムハンマドが、旧約聖書を知らないと言われる訳である。
あろうことか、ムハンマドも、アブラハムがエジプト人の女に生ませた子の子孫である。
それが、アブラハムの信仰を復興しようとする。
正統な子孫は、笑う。
アブラハムの妻サライに、子供が生まれるからである。
次に続く。